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SNS投稿で偽救助要請 消防、警察複数出動 緊急対応支障の恐れ 能登地震

 能登半島地震の発生後、X(旧ツイッター)など交流サイト(SNS)に投稿された虚偽の救助要請に基づき、実際に消防が出動したケースが少なくとも2件あったことが8日、石川県内の各消防への取材で分かった。県警でも同様の出動が複数件あったという。出動に至らなかったが確認に追われた例もあった。

能登半島地震での虚偽の情報に基づく出動事例
能登半島地震での虚偽の情報に基づく出動事例
能登半島地震でX(旧ツイッター)に投稿された虚偽の救助要請(画像の一部を加工しています)
能登半島地震でX(旧ツイッター)に投稿された虚偽の救助要請(画像の一部を加工しています)
能登半島地震での虚偽の情報に基づく出動事例
能登半島地震でX(旧ツイッター)に投稿された虚偽の救助要請(画像の一部を加工しています)

 虚偽の投稿は多数あったとみられ、実際に緊急を要する被災者の対応に支障が生じた恐れもある。関係者から「SNSの投稿をどう取り扱うか対策を急がなければ」との声が上がる。
 各消防は「インターネット情報だけで出動することはなく、119番が基本だ」とするが、実在する具体的な住所の記載が出動の根拠となった事例もあった。
 金沢市消防局によると、Xなどの公式アカウントに発生直後39件の情報が寄せられた。うち1件は市内の詳しい住所が記載された被災情報だったため、消防隊1隊を派遣。住人は無事で、近隣にも確認したが被害はなかった。担当者は「明らかなデマ」と話す。管轄外の情報提供もあり、同消防局から連絡を受けた各消防が確認に追われた。
 加賀市消防本部にはXに救助を求める投稿があるとして、119番があった。同本部も投稿内容を確認した上で10人ほどが現場に向かうと、空き倉庫で誰もいなかった。すると、直後に「助かりました」との投稿。他の業務に支障はなかったというが、発生直後の混乱に乗じたいたずらだった可能性がある。
 輪島市や珠洲市などを管轄する消防本部では、真偽を確認した通報はあったが、出動はしなかった。
 消防だけでなく警察が現地を訪問した例もあった。被害が大きかった能登地方の住所とともに「息子がタンスの下に挟まって動けません 私の力では動きません」と書き込まれた投稿を見た第三者が通報し、住所地の40代女性宅に警察が確認に来た。女性は家族ともに無事で「こんな情報は流していない」と伝えたが、その後も投稿が残っており、通報を受けた警察が改めて訪れたという。
 元々の投稿は削除されたとみられるが、それを貼り付けた投稿は今月8日時点でまだ複数残っている。女性は「自身の住所が公開されて迷惑。本当に救助が必要な人に行き渡らなかったのではないか」と憤った。

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