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大自在(1月31日)能登地震1カ月

 のどかな元日を襲った最大震度7の能登半島地震。石川県まとめできのう現在、死者は238人。奥能登と呼ばれる半島北部を中心に住宅倒壊が相次いだ。犠牲者の多くは倒壊した住宅の下敷きになり、住宅耐震化の重要性を再認識させた。
 住宅被害は全壊から一部破損まで同県内で約4万5千棟に上る。東岸には津波が襲来し、大規模火災も起きた。道路が寸断されて救援ルートの確保に難儀して孤立する集落が目立った。改めて山が多い半島地形への救援の難しさを突き付けた。
 その地震発生から間もなく1カ月。被災地の停電復旧は「おおむね月内」というが、断水の解消にはまだ時間がかかりそうだ。依然として1万人以上が避難生活を余儀なくされている。寒さが厳しくなる中、災害関連死を防ぐ支援が求められる。
 一方、罹災[りさい]証明書の交付申請受け付けや仮設住宅建設、災害ボランティアの活動など、生活再建への動きが始まった。寄り添う支援で被災者が1日も早く日常生活を取り戻すことを望みたい。
 過疎化と高齢化が進んだ奥能登の復興には難問が山積する。政府と自治体が担う役割と責任はとても重要だ。ところが、自民党派閥のパーティー券裏金事件という激震が政権を揺るがす。
 通常国会の最大テーマも「政治とカネ」問題だ。中央政界の混乱は被災住民にどう映っているか。岸田文雄首相はきのうの施政方針演説で「被災地の再生まで責任を持って取り組む」と強調したが、政治家が自らの保身や利権の保護に走り、被災地を置き去りにすることは許されない。

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