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大自在(2月9日)大雪

 太平洋側を先日通過した「南岸低気圧」は、関東甲信に大雪を降らせた。大雪警報も発表され、首都高速道路が通行止めになるなど交通網が混乱した。
 大雪の翌日、新東名高速道路で恐る恐る静岡県東部に出かけてみた。北東方向は厚い雲に覆われ、雲間から見えた箱根の山は白かった。サービスエリアは待機中のトラックで「満」状態。その先の首都高に入れないためだろう。物流は経済の血液だ。止まった途端、さまざまな弊害が生じる。
 思い起こせば10年前も関東甲信に大雪が降った。高速道路上で立ち往生したトラックが雪に埋もれて、復旧は容易ではなかった。県東部でも大雪で孤立する地区があり、自衛隊に災害出動要請が出た。
 この時は下道にも車があふれ出て大渋滞を生じ、運転手が避難して放棄された車が復旧の足かせにもなった。その後も大雪による高速道路の立ち往生が相次いで「予防的通行規制」が導入された。混乱を避けて復旧を早めるという文脈では鉄道の計画運休も同義といえる。
 ただ、高架区間が多く路肩の狭い首都高では今回、想定以上に排雪作業に時間を要した。南岸低気圧は南の太平洋沖を通れば首都圏に影響はなく、北の内陸を通れば雨になるという。ところが中間ルートでは気温次第で雪をもたらす可能性がある。
 地球温暖化で大気中の水蒸気量が増えると、降雪日数が減っても降る時は大雪になりやすいとも言われる。暖かいのに大雪が降る。矛盾するように聞こえるが、自然環境を改変した人間の行いがこうした無理を強いるのかもしれない。

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