テーマ : 高校野球 静岡

大自在(7月8日)江川

 高校時代から怪物と騒がれたプロ野球巨人の元エース江川卓さんが、佐久間高(現浜松湖北高佐久間分校)にいたら甲子園に行けただろうか。佐久間高OBや佐久間町(現浜松市天竜区佐久間町)出身の親戚や知人を相手に何度か交わした他愛[たわい]もない野球談議のテーマだが、現実離れした話でもない。
 江川さんは中学の途中まで父親の勤務地の佐久間町で過ごした。天竜川で投げた小石が遠く離れた対岸まで届いたという伝説は語り継がれている。
 父親の転勤で栃木県の中学に転校した江川さんは、県内の作新学院高に進んだ。佐久間中で同学年だった男性が「あんなに注目されるようになるとは」と振り返るのは半世紀前。プロ顔負けの豪腕は、1973年の高校野球の話題を独占した。
 春の選抜に続き、夏の甲子園に登場した。「江川の大会」ともいわれたが、2回戦で敗退し、全国的には大会への関心は低下した。ただ、静岡県のムードは違った。静岡高が自慢の強打線で快進撃を続け、準優勝した。
 「あのまま佐久間にいても、強豪校に進学したはず」「たとえ佐久間高に進んでも、あの剛速球をキャッチャーが捕れたのか」。野球談議はいつも盛り上がった。だが、当時の佐久間高は強豪校も侮れない存在だった。74年夏、2年連続の甲子園を目指す静岡高を県大会初戦で下した。
 きょう熱戦が始まる県大会に佐久間分校は熱海高との合同チームで出場する。合同練習の時間も十分取れないだろうが、ハンディをばねにしてほしい。先輩たちが演じたような番狂わせも夢ではない。

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