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時論(8月5日)夏の音「カキーン」どうなるか

 ラジオ体操、かき氷器、雷…。人それぞれに、思い出す夏の音があるだろう。新潟日報社の教育情報サイトが2021年に行ったアンケートでは、子どもも大人も、セミ、花火、風鈴が1~3位までに入っていた。
 筆者の場合、何といっても「カキーン」である。
 金属バットがはじき返す白球が、甲子園球場の青空に吸い込まれる。高校野球中継のテレビから響く高音に、爽快な気分になった。故蔦文也監督が率いた池田高(徳島)。清原和博さん、桑田真澄さんのPL学園高(大阪)。強打のチームが席巻していた時代だ。
 飛ばないバットの導入を検討してきた日本高野連は昨年2月、金属バットの新基準を定めた。打球直撃による投手の受傷事故防止のためである。また、打者を抑えるために球数が増えてしまう投手の肩、肘の故障リスクを抑えるためでもある。
 反発力を抑制するため、バットの最大径を67ミリから64ミリと細くし、打球部の金属を3ミリから4ミリ以上へと肉厚にした。高野連によれば、新基準では打球の初速が3・6%減少するという。
 来春の選抜高校野球大会から、新基準に完全移行する。太さや厚みを変えるのだから、打球音にも影響があるのでは。「カキーン」は、どんな音になるだろう。
 メーカーの製品情報ページには、「音響は現基準バットと同様」とある。それでも、練習などで使用した指導者らから、「キーンと、より高くなった」「芯に当たってもパコン」などとさまざまな声があるようだ。
 甲子園で従来のバットが使えるのは、今夏が最後となる。熱戦は、あす開幕。「カキーン」を満喫したいものである。
 (論説委員・山崎善啓)

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