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大自在(8月9日)「死のロード」

 先日、小欄で松井秀喜さんの甲子園大会改革案に触れた。「夏休みいっぱいを使って、前半、後半の2部制に」という、高校野球の元スター選手からの提言。
 試合間隔を空けて、球児の負担を軽減してという願いだろう。でも、松井さんの言葉には続きが。「阪神も途中で(甲子園に)帰って来られる。死のロードもなくなる」。
 全国高校野球選手権の期間、阪神は甲子園で戦えず、長期遠征を強いられる。1980年からの20年間で、遠征中の勝ち越しはわずか4度だった。松井さんが巨人でプレーしたのは93~2002年なので、「死のロード」という言葉を使うのも納得できる。
 しかし、それは昔の話だ。97年に大阪ドーム(現京セラドーム大阪)が開業し、阪神も主催試合を行う。巨人、中日も本拠地は空調の効いたドーム球場。00年以降は、勝敗を見てもそれほど不利益を被っているように思えない。「死のロード」はもはや死語だろう。今季も1日から23試合、甲子園を離れるが、ドーム球場が14試合。そのうち選手が自宅から通える京セラは5試合。
 阪神の岡田彰布監督が、オリックスを率いていた13年前のセ・パ交流戦。優勝という言葉を封印、置き換えて使ったのが「アレ」だという。選手に余計な圧力をかけない気遣いで、優勝に導いた。「阪神タイガースはなんで優勝でけへんのや?」(喜瀬雅則著、光文社新書)に、今年の阪神の最終目標でもある言葉の誕生秘話がある。
 セ・リーグ首位の阪神。かつて「死のロード」だった夏の戦いの先に、「アレ」はあるか。

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