⚾藤枝明誠４強　堅守と集中力　秋季高校野球東海大会

　第７６回秋季高校野球東海大会は２２日、岐阜県で準々決勝を行った。藤枝明誠（静岡１位）は平口貴一に適時三塁打、一瀬友希に適時打２本が飛び出し、県岐阜商（岐阜２位）に勝利。２年ぶりの選抜を目指した日大三島（静岡３位）は愛工大名電（愛知１位）に競り負けた。大会第３日は２８日、長良川球場で準決勝を行い、藤枝明誠は愛工大名電と対戦する。

藤枝明誠―県岐阜商　２回表藤枝明誠１死三塁、矢沢（中央）のスクイズで三走皆川（左）が先制のホームを踏む＝岐阜・長良川球場（写真部・坂本豊）

藤枝明誠－県岐阜商　８回裏２死一、三塁のピンチを脱し笑顔でベンチへと戻る藤枝明誠の主戦・山田＝岐阜・長良川球場（写真部・坂本豊）

藤枝明誠－県岐阜商　７回表藤枝明誠２死三塁、一瀬が適時打を放ちリードを広げる＝岐阜・長良川球場（写真部・坂本豊）

▽準々決勝（長良川第１試合）
藤枝明誠（静岡１位）０１０３１０１００―６
県岐阜商（岐阜２位）００１２０００００―３
▽三塁打　平口（藤）寺前（県）▽二塁打　皆川２、梶田（藤）
▽試合時間　２時間３分

　【評】藤枝明誠は投打がかみ合い、県岐阜商に競り勝った。
　藤枝明誠は１－１の四回２死から皆川の二塁打を起点に、川崎の適時打と平口の２点三塁打で３点を勝ち越した。五、七回は一瀬の２打席連続適時打でリードを広げた。
　投げては五回から左腕日吉を救援した右腕山田が５回を無失点。無死から走者を背負った六、七回は併殺で切り抜け、八回２死一、三塁は左翼手坂上が大飛球を好捕するなど守備陣ももり立てた。

勝負強く２死から５点　ピンチで併殺、美技　紙一重の攻防で勝負強さを発揮し、藤枝明誠が初の選抜へ大きな１勝を挙げた。優勝候補の県岐阜商からスクイズで先手を取り、その後は全て２死から５得点。再三のピンチも好守で切り抜け、光岡監督も「勝つにはこれしかないという野球を体現してくれた」と満足そうにうなずいた。
　個々の力量は相手が上。その中で「力のない者がいかに勝つか」（光岡監督）をモットーに磨いた堅守と集中力がものをいった。
　攻守で流れをつくったのは４番捕手の皆川だ。二、四回に２打席連続二塁打。二回はチーム初安打を放って矢沢のスクイズで生還し、四回は２死走者なしからの一打で３得点を呼び込んだ。
　リードでも「守備が出来上がってきた。打たせれば取れる」と日吉、山田の１００キロ台の緩い変化球を大胆にストライクゾーンへ。１３安打されながらも３失点。無四球で生まれた守備のリズムは六、七回の併殺や八回のピンチで飛び出した坂上の美技につながった。
　五、七回に貴重な追加点をたたき出した主将一瀬は、大一番でナインが見せた勝負強さを「野球の技術だけでなく、私生活を含め人間力も高めてきたから」と胸を張る。来春から東海地区の選抜出場枠は３。２度目の聖地を懸け、愛知覇者の愛工大名電に挑む。
　（山本一真）