テーマ : 高校野球 静岡

記者コラム「清流」 力引き出す魔法の言葉

 2007年の選抜高校野球大会で常葉菊川を優勝に導き、御殿場西でも監督を務めた森下知幸さんが急逝した。教え子はもちろん県内外の野球人に慕われた。
 16年夏の静岡大会で優勝した翌日、監督を辞任し、甲子園での指揮をコーチに託すと発表して世間を騒がせたこともあった。御殿場西着任が大会前に決まっていただけに「職業監督だから」「選手を信じてなかったんじゃないか」などと批判されたがそれは当たらない。ただ世間は甲子園出場という名誉を簡単に手放す理由が理解できなかった。
 夏の静岡大会、敗色濃厚の展開でベンチの森下監督は叱るでも鼓舞するでもなくこう言ったという。「あしたから夏休みだな」。選手は肩の力がふっと抜けたことだろう。反撃開始の合図になった。そんな森下マジックはもう見られない。
(運動部・結城啓子)

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