⚾藤枝明誠、９回４点　第１シード加藤学園下す　全国高校野球静岡大会準々決勝

運動部　吉沢光隆

加藤学園―藤枝明誠　９回表藤枝明誠１死二、三塁、井手尾が決勝打を放つ＝草薙球場（写真部・宮崎隆男）

加藤学園―藤枝明誠試合が終了して悔しさをにじませる加藤学園ナイン＝草薙球場（写真部・宮崎隆男）

加藤学園―藤枝明誠９回表藤枝明誠１死二塁、適時二塁打を放つ山田竣＝草薙球場（写真部・宮崎隆男）

加藤学園―藤枝明誠９回表藤枝明誠１死二、三塁、決勝打を放つ井手尾＝草薙球場（写真部・宮崎隆男）

加藤学園―藤枝明誠９回表藤枝明誠１死二、三塁、井手尾の決勝打で生還し喜ぶ山田竣＝草薙球場（写真部・宮崎隆男）

加藤学園―藤枝明誠３回表加藤学園１死、内野安打で一塁に出る太田（右）＝草薙球場（写真部・宮崎隆男）

　▽準々決勝（草薙第１試合）
藤枝明誠　
０００００００１４―５
０００１００１００―２
加藤学園
▽三塁打　小沢（藤）▽二塁打　山田竣（藤）安東、太田、片山（加）▽暴投　鈴木（加）▽野選　鈴木（加）
▽試合時間　２時間４５分

　【評】藤枝明誠が九回に逆転し、加藤学園に競り勝った。
　藤枝明誠は１点を追う九回、先頭皆川の安打などで好機をつくり、山田竣の右翼線適時二塁打で追い付いた。なおも野選で好機が広がり、途中出場井手尾が右前安打を放ち勝ち越した。先発牧野は４回１失点の好投。救援寺下も踏ん張り打線の反撃につなげた。
　加藤学園は中盤に先制、七回に追加点を挙げて優位に進めたが、藤枝明誠の粘りに屈した。

辛抱強く守り抜きついに―　大一番にベストゲーム　守り抜き、終盤に粘り勝つ－。春の負けを力に変え、藤枝明誠が大一番をものにした。ロースコアに持ち込み最終回に狙い通りの逆転劇。光岡監督が「勝つとすればこの展開しかない」とうなるベストゲームで６年ぶりの４強を手中に収めた。
　序盤から緊迫の投手戦。力投する牧野、寺下をバックがもり立てた。二回２死満塁のピンチでは中堅原田が左中間の打球を背走し好捕。ビッグプレーで大量失点を防いだ。
　「後半必ずチャンスが来る」。指揮官の言葉通り、辛抱強く守る明誠に好機が訪れた。１点差に詰め寄り迎えた九回、１死二塁で打席の山田竣は「自分の仕事をするだけ」と初球に集中。高めに浮いたフォークを捉え、値千金の同点打で期待に応えた。
　一気に流れに乗り、１年生井手尾がしぶとく右前へ運び勝ち越しに成功。大仕事を果たし「今までで一番うれしい瞬間だった」とあどけなく笑った。
　春季県大会の加藤学園戦では、武器だったはずの守備が乱れ一挙７失点で敗退。以来グラウンドのスコアボードに７の数字を入れ、悔しさを胸に刻んできた。守り勝つ自分たちのスタイルをもう一度見詰め直し臨んだ今大会。強みが形になってきた。
　（吉沢光隆）
監督を甲子園に…　約束を果たせず　唇かむ太田主将　加藤学園　夏の甲子園初出場の期待を背負い戦った加藤学園が力尽きた。強烈なリーダーシップでチームを引っ張った主将の太田は「監督に勝利をプレゼントしたかった」と唇をかんだ。
　新チームの主将就任当時、米山監督に「甲子園へ連れて行く」と宣言。チームメートとともに、厳しい練習の中で自身を成長させてきた。
　この日は３安打を放つ活躍。体を張った全力プレーでベンチをもり立てた。「悔しい気持ちが大きいが、最後に意地は出せた。最高のチームだった」。約束を果たすことはできなかったが、監督、仲間と一緒に過ごした日々を感謝の思いで振り返った。